果てなき渇望

私にとっての初の単行本です。 それだけに想い入れは格別なものがあります。 何より〝果てなき渇望〟は私の執筆のモチーフとなりました。以降、今日に至るほとんどの単行本はこのテーマをもとに執筆されています。

本作はボディビルダーたちが主人公。肉体という人間存在の根源を鍛え、肥大させる男女の精神性にスポットをあてました。ムキムキと笑われても、生活のすべてを筋肉に捧げ、時に禁止薬物にまで手を伸ばすボディビルダーが求めるものとは――。
筋トレブームの昨今こそ、「異形の肉体に呪縛された荘厳なまでの狂気の世界」(本書の帯のコピー)が持つ真摯で深遠な意義に想いを馳せていただきたいです。

※ちょっとややこしいエピソード――。
本作刊行に先立ち、1998年に発表した同名の短編『果てなき渇望』があります。長編の第3章「禁止薬物」の主人公がそのまま短編の主人公。この作品は文藝春秋社が主催した「第6回Numberスポーツノンフィクション新人賞」を獲得しました。

98年といえば私は38歳、文筆の世界に入って4年目にしての新人賞です。当時はかなりツッぱっていて「こんなモンくらいでオレが満足すると思うなよ!」とかなり鼻息が荒かったのでした。

短編作品は『NumberベストセレクションⅢ』(文藝春秋)に収録されています。ちなみに長編の単行本のほうは、2000年のNumberが選ぶ「第1回ベストスポーツノンフィクション」の単行本部門で第1位に選出していただきました。

ジャンル: ノンフィクション
出版社: 草思社
刊行: 2000年7月6日/文庫版:2012年6月12日