うまい日本酒は
どこにある?

私が日本酒の魅力に魅せられるようになったのは30歳あたりから。ようやく、うまい地酒が醸されはじめた頃でした。10年近く勤めた広告企画会社を辞して文筆の世界に飛びこんだり、長男が生まれたりとなかなか激動の時代でありました。

当時、住んでいた川崎市高津区の賃貸マンションの隣が酒屋だったこともあり、毎夕のように酒を買いにいき、ずぶずぶと日本酒の深みにはまっていった……。
いろんな銘柄を店主にすすめられ呑んだけど、とりわけ「住吉」と「由利正宗」をよく覚えています。どちらも、しっかりした濃淳な吞み口で圧倒されました。そういえば、両方のお酒ともしばらく口にしてないなあ。

それはさておき――本作の執筆動機は、日本酒が1974年あたりからずっと生産量、販売量とも下降するばかりと知ったから。

「こんなにうまい地酒があるのに、どうして売れないんだろう?」

その原因を探り、苦境が続く中でも一心にうまい酒を醸し、売り、供する人たちを追いかけたのが本作です。おかげで、今に続く数多くの酒蔵や酒販店と強い繫がりができました。

続編たる『うまい日本酒をつくる人たち』(草思社)や集英社の「グランドジャンプ」誌で連載した『いっぽん!! しあわせの日本酒』(原案、取材、原作担当。コミック3巻刊行)などの作品も、本作があればこそ。日本酒が取り持つご縁のありがたさに感謝、感謝です。

ジャンル: ノンフィクション
出版社: 草思社
刊行: 2004年9月20日/文庫版:2011年10月14日